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私的物書

音楽、映画や美術。

『ネレトバの戦い(Battle of Neretva, Bitka na Neretvi)』(1969年)

1969年にユーゴスラヴィアで製作された戦争映画です。WWIIで実在した「ネレトバの戦い」をオリジナルに、ユーゴスラヴィアの素晴らしさ、を称えるような作品となっています。

まず、「ネレトバの戦い」を簡潔に説明すると、「パレスチナ枢軸国(ドイツ軍、イタリア軍クロアチア軍、チェトニック、ウスタシャ)」とのネレトバ川流域で繰り広げられた戦いです。要は、弱小で規模も小さいパレスチナが、勝てるはずもないような規模の大きさを誇る枢軸国側に対して、戦略的勝利を遂げる、といったような内容です。こうした戦いを勝利国であるユーゴスラヴィアが製作したという事実からも察せると思うのですが、プロパガンダ的性格をも持ち得ているんじゃないかと私は思います。

ユーゴスラヴィアというのは少し奇異な国で、東欧の括りにされてはいますが、冷戦時の東側、社会共産主義国かと言われたらそうでもないような性格があります。当時、東欧諸国を牛耳っていたソ連コミンフォルムを形成し、西側、民主主義への対立態勢を整えました。また、このコミンフォルムをはじめとして、ソ連型の社会主義社会では、東欧諸国とソ連は従属的な関係で、東欧諸国はあくまでソ連に追随するだけでした。

このことに対して、ユーゴスラビアソ連型の社会主義を国権主義的社会主義と批判するとともにコミンフォルムを脱退し、労働者を主体とする自主管理社会主義を目指します。また、そこでは西側の市場経済の要素、いわば民主主義的要素を取り入れていきます。結果的には、この自主管理社会主義は失敗に終わってしまいますが、ユーゴスラヴィア社会主義でもない、民主主義でもない、独自の道を歩んでいきました、このことがユーゴスラビアの独自性を特徴づける史実だと思います。

この事実を前提とした上でこの映画を鑑賞すると、社会主義のような匂いも感じれば、民主主義的な匂いもな感じれるのではないかと思います。軍隊という組織性格上当たり前と言われれば当たり前ですが、ヒエラルキーが確固としていて、みなきちんと動くかと思えば、ある程度の自由が利いていて、かつ指導者には慈愛や友愛も感じられます。歌いながら敵へと立ち向かう様や、橋を渡る際の一致団結感にもこのような匂いを感じることができるのではないでしょうか。

以下、ポスターです。

 

http://tthk-18.tumblr.com/post/142048628933/bitka-na-neretvi-the-battle-of-neretva